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無礼講トーク〜弟子の言い分

2013/04/28 14:01
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今さらですが、先日の「ここだけの噺」、弟子の無礼講トーク「桂米二を斬る」のご報告をいたします。二人の弟子が日頃の師匠への不満をさらけ出すという前向きな企画でしたが、一番楽しみにしていたのは私やったんと違いますやろか。とにかくニヤニヤしながら聞いておったのであります。

修業時代(二葉はまだ今も修業中ですが)、師匠、つまり私にどんな理不尽な怒られ方をしたかを競って話しておりました。

まず二乗の蛍光灯の一件。彼はこう言いました。蛍光灯を点ける時、2回紐を引いたら「紐を引っ張るのは1回だけにせえ!」と怒鳴られました、と。

少し詳しく説明しましょう。衣装箪笥が置いてある部屋の蛍光灯なんですが、私はこれを消す時に3回紐を引っ張ります。蛍光灯は紐を引くたびに「明」「少し暗」「豆球」「消灯」を繰り返しますから「明」の状態から3回引くと消えることになりますよね。

ところが、二乗が蛍光灯を点けた時、私が消そうと思って3回紐を引くとまた蛍光灯が点くのです。つまり彼は蛍光灯を点ける時、必ず2回引くんです。普通は1回と違います? 「少し暗」の状態になってるから、3回引くとまた点きますわな。

私は二乗に頼みました。すまんけど、蛍光灯を点ける時は1回だけ紐を引いてくれ、と。

数日後、蛍光灯を消そうとして3回紐を引くと、蛍光灯がまたピカピカッと点きました。

「紐を引くのは1回だけと言うたやろ!!!」

実に筋の通った怒り方です。

次は二葉のペットボトルの一件。彼女は言いました。ペットボトルの水を一杯まで入れておいたら、「蓋を開けた時に水がこぼれたやないか。こんな一杯まで水を入れるな!」と怒鳴られました、と。

少し詳しく説明しましょう。うちでは浄水器の水を2リットルの古いペットボトルに入れて、ポットの水補給などにいつでも使えるようにしてあります。それが二葉が来てから、ペットボトルの蓋を開けると水がこぼれて足が濡れるんです。最初は自分の不注意やと思いました。

次の日、また足を濡らしました。なんでや? 見たらボトルの口の筋切り一杯まで水が入ってます。こんなにたくさん入ってたら蓋を開けるとこぼれるのは当然です。

私は二葉に頼みました。すまんけど、ペットボトルの口ギリギリまで水を入れるのはやめてくれ、と。

数日後、また足を濡らしました。しかも今までで一番ひどい。びしょ濡れですわ。

「ギリギリまで入れるなと言うたやろ!!!」

もうおわかりですね。私は蛍光灯が点いただけで、水がこぼれただけで怒鳴ったりしません。同じことを2回言わせたからなんです。1回言うてやめてくれたら怒鳴らへんのです。それをきゃつらは2回目ということを忘れて、些細なことで怒鳴られたということだけを覚えてよるのです。けしからん。

他にもいろいろ言うてましたが、もう済んだこと。忘れましたわ。なんと私は度量の広い師匠なんでしょう。最後は私も加わって三人で無礼講トーク。とにかくワーワーと大受けで盛り上がったのです。

なお、この文章は桂米二が自分に都合の良いように事実を歪曲している部分があることをご了解ください。

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最終回なのにトラブル

2013/04/23 15:38
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いよいよ明日、最終回を迎える「二の会〜米二・染二・鶴二三人会」。最終回と発表したら、さぞかし予約数が伸びるやろうと思た私が馬鹿でした。3人合わせて予約人数が23名しかないことが判明しました。

「三人寄れば文殊の知恵」と言う諺があるから、さぞ力強い会になるやろうと思て始めたんですが、そうでもなかったわけです。調べたらこんな諺もありましたぜ、お客さん。

「三人寄っても下種は下種」

今からでも遅くありません。ご予約よろしくお願いしますね。

こんなことで驚いてはいけませんよ、お客さん。もっと重大なことが発覚しました。

今日、お客さまからいただいたご予約メールにこんなことが書いてありました。

「二乗さん、トリイホールと雀のおやどと、どちらも前座で掛け持ちされるのはたいへんですね」

ちょっと待った。そんなことは不可能です。トリと前座ならともかく、同じ時間帯の会で前座の掛け持ちなんかできるわけございません。でもネットで調べたら、たしかに「二の会」と「じゃくったれ〜桂雀太落語会〜@雀のおやど」の両方に出ることになってます。これはえらいこっちゃがな。

早速、本人に連絡するとどうやら「じゃくったれ」を26日と聞き間違えてたらしいのです。ほんま不肖の弟子でございます。私はこの種の間違いをしたことがないのです。病気休演も25年ほどありません。情けない……。

弟子の不始末は師匠の責任。深く深くお詫びいたします。

そんなわけで明日の「二の会」に二乗は出演しません。二葉に代演させることにしました。そんなことでさっきからバタバタ……。

ああ疲れた。もう寝ますわ。……昼寝ね。

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第6回ここだけの噺

2013/04/19 14:27
一門はいいものです。一番上に師匠が居てはって、その下にずーっと兄弟が居ます。一緒に仕事することが多いので、実の兄弟より密になります。ほんとにいいものです。でもこれは桂米朝一門の場合ね。

それに比べたらまだまだひよこなのが、桂米二一門。第一師匠が頼りない。中途半端。貧乏。それに合わせるように弟子も頼りない。

その頼りない者同士で、こそこそといろんなことをやってます。この会は弟子に本音を吐かせようという企画です。二乗、二葉の無礼講トークが一番楽しみですな。私はせんどいろんなことを言われて、あとの座談会でその弁解をするというプログラムになってます。

無礼講とは言いながら、私がどこでプッツンするか楽しみにしているお客さまもいらっしゃるでしょう。リレー落語もついてます。

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  ☆4月21日(日) 15:00 〜
第6回桂米二のここだけの噺/なにわ創生塾(椅子席) TEL (G)06-6765-2111
  〒543-0028 (G)大阪市天王寺区小橋町2-12 上本町NEXTAGE 6F P-spot14
  地下鉄千日前線「鶴橋」1番出口西へ徒歩2分 JR・近鉄「鶴橋」西へ徒歩5分
  1Fはファミリーマート天王寺小橋町店(※注・近所に別のファミマ有)
「対談・桂米二を斬る」二乗・二葉 リレー落語「東の旅発端」二葉 「煮売屋」二乗
「七度狐」米二 「座談会・質問コーナー」米二・二乗・二葉
¥2,000(※要予約・限定50名) 問&予 TEL 080-5338-7331 桂米二予約センター(主に留守電)
Eメール g-yan@yoneji.com 携帯メール専用 yoneji.k-yoyaku.0906@ezweb.ne.jp
 今回は米二の弟子二人による無礼講トークからスタート。そしてリレー落語「東の旅」、
 最後は米二も交えての座談会と質問コーナー。どんなオフレコトークが出るのか?
なにわ創生塾

なにわ創生塾地図


まだ少し余裕があります。狭い会場なのでできるだけご予約くださいね。
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哀愁のゴロゴロ

2013/04/17 11:01
噺家の間で、ゴロゴロと言えば「口入屋」のゴロゴロの戸を思い出したのは昔のこと。今、ゴロゴロと言えばキャスター付きのスーツケースを指します。それぐらいゴロゴロを使っている噺家は多いのです。ほんま、ゴロゴロとやかましい。

吉朝門下のY吉君なんかすごいよ。いつもめっちゃ大きいのを持って歩いてます。

「お前、海外旅行か?」

と、突っ込みを入れたこと数万回。

Y團治君なんか大きいのを持ってるので中を覗き込んだら、衣装が2セット入ってます。落語一席の時でも2セット。聞いたら、他の人の衣装とのバランスを考えて決めるんですと。いい心がけだ。これについてだけは……。

とは言いつつ、私もスーツケースは4つ持ってます。全部イオンの安いやつ。でもこれ、4つの値段を合わせたらドイツ製のRIMOWAが1つ買えまっせ。……そんなこと自慢するなちゅうねん。

イオンのスーツケース、酷使しています。衣装も重いけど、もっと重いのが落語会のチラシ。この負担が大きいんですわ。

この頃、これを押して歩くのは主に二葉の役。腰痛を抱えてがんばって運んでくれてます。そんなことはわかってます。けどこれは弟子の役目やからね。わたしゃ、一緒に歩かないようにしてます。いじめてると思われるから。

そんなこんなで、久しぶりにスーツケースの下のほうを見たら、キャスターがボロボロになってました。ささくれだってるは、へんなところはへこんでるわ、見ただけで痛そうなんです。

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というわけで修理しました。キャスター4個交換。本体はまだまだ使えるからね。ところが修理代金が12,600円也。エーーーーーッ!

横に陳列してあるサラの同じようなスーツケースは10,800円。1,200円も安いんです。ほんとがっかりやね。

けど本体がまだまだ使えるのにサラに買い替えることに私は抵抗を感じます。これでええのです。冥加に悪いからね。

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神宮道上がる下がる寄席

2013/04/16 08:40
明日です。神宮道上がる下がる寄席。神宮道の商店街組合が主催です。

商店街がバックについてもらってるので、毎回抽選会付きです。今回は京漬物で超有名な西利さんのお漬物が当たります。ちょっといいですよ。とはいいながら、今まで中身は見たことないから知りませんが……。

抽選会というのはちょいちょい無責任なところがあります。引いてる本人が全然知らん。当たった人だけが知ってるんですよ。

でもここの抽選会にも苦難の歴史があるのです。最初は4軒のお店からご協賛いただいてたのですが、某有名おかき屋さんに断られたり、頼りにしていたちりめん山椒で有名な京のおぞよ屋さんは移転して出て行かれたり……。現在は西利さんの他に和菓子の平安殿さん、新たにセブン−イレブン京都平安神宮前店さんが加わって3軒のお店でローテーションを回していただいてます。

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  ☆4月17日(水) 19:00 〜
第25回神宮道上がる下がる寄席/洛東教会(2F・椅子席)
 京都地下鉄東西線「東山」北東へ徒歩8分
 市バス「京都会館美術館前」東へ徒歩1分・仁王門通神宮道東入
 〒606-8344 (G)京都市左京区岡崎円勝寺町91-66 (G)洛東チャーチホーム
「東の旅発端」二葉 「牛ほめ」米二 「ちしゃ医者」宗助 「牛の丸薬」米二
前売・予約¥2,000 当日¥2,300 主催:神宮道商店街組合(神宮道上がる下がる)
TEL 075-771-9401 FAX 075-761-1772 博宝堂(月曜定休・11〜19時)
メール予約 arthhd@giga.ocn.ne.jp 携帯専用 yoneji.k-yoyaku.0906@ezweb.ne.jp
 桂米二お膝元の落語会。我が家から洛東教会まで歩いて5分です。
 今回の演目は特に意味はないけど、牛シリーズにしてみました。
 京つけもの西利のお漬物が当たる抽選会有ります。
博宝堂

京つけもの西利

洛東教会

洛東教会地図


我が家から一番近い落語会。でも舞台設営がかなりたいへんな落語会。時々、開演前にフーフー言うて疲れてますが、お許しください。お待ちしております。
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最終回

2013/04/12 11:34
生まれる落語会があれば、消えて行く落語会もあります。華々しく散った会、主催者の都合でなくなった会、会場が使えなくなった会、誰に知られることもなく密かに消えた会等々……。

最終回という言葉には重みがありますねぇ。もうなくなった会を並べてみましょうか。

竹の郷寄席、大黒町寄席、京染落語の会、うなぎの魚伊寄席、満作落語の会、墨染そうぞう寄席、田舎の落語会、猪名川寄席……。

そして、今回新たに華々しく最終回を迎えることになった落語会をご紹介いたしましょう。

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  ☆4月24日(水) 18:30 〜
第7回二の会〜米二・染二・鶴二三人会/(G)トリイホール(椅子席)
  大阪千日前・地下鉄他「難波」「日本橋」徒歩5分・上方ビル4F
二乗 鶴二 染二 「住吉駕籠」米二 オープニングトークあり
前売・予約¥2,500 当日¥3,000 問:TEL (G)06-6211-2506 トリイホール
問&予 TEL 080-5338-7331 桂米二予約センター(主に留守電)
Eメール g-yan@yoneji.com 携帯メール専用 yoneji.k-yoyaku.0906@ezweb.ne.jp
http://www.toriihall.com/
 「二」がついてるだけで一門も芸風も考え方も違う仲が悪い噺家の三人会です。
 トリの演目だけ決めております。あとは当日のお楽しみ。

「二の会」の最終回の原因は30年前の「とにいじゃっく」のように仲間割れではありません。元々仲が悪いから。(洒落ですよ。ちょいちょい本気にする人があるから困ります)

原因は来たことがあるお客さまならよくご存じでしょう。不入り。

というわけです。最終回ぐらい立派に花を咲かせて散らせていただきます。どうぞよろしく。(なんかホッとしている私もどこかに居ますねぇ)
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感動の近江牛

2013/04/10 11:10
「爆笑マタニティ倶楽部@島岡医院」の終演後、島岡先生に連れていただきました。ちょっと遠くて、桂にある「くいしんぼー山中」へ。噂には聞いたことのあるステーキ屋さんです。

オーナーシェフの山中康司さんから、食についていろんなお話を聞かせてもらいました。酔うてたから忘れたけど。

ま、食材選びがどれだけ大事か、本当の美味い肉はいわゆる霜降りではない、エエ肉の脂は低温度で融けるから胃にもたれない、というようなことでした。

も、見せたげますわ。全部写真に撮ったから。まず牛タン。厚いよ。

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次に出てきたのが冷製コンソメ。

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ビフカツじゃい! この肉の色、どないや? もっと上等のカメラで撮ったらもっとエエ色になるで。

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そしてステーキ。ガーリックも完食。

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まだまだ出てくるハンバーグ。焼く前に穴が開いてるのが見えたけど、そこに卵が入ってました。

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で、ガーリックライス。

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デザートに自家製シュークリーム。

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デザートが一つだけやおまへん。チョコレート。中に何が入ってたか忘れた。

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まだあるチーズケーキ。

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ご紹介するのを忘れてましたが、島岡先生も私も大乗せです。……あ、この言葉ご存じないですか? 我々の符牒で大食いのことです。乗せるというのは食べるということなんです。

一緒に行った女性陣が食べきれなかった牛肉を、私と先生とで分け分けしました。そんなにたくさん食べたのに全然しんどくない。胃が喜んでるのがわかりました!

ほんと、感動の近江牛でした。けどニンニク臭かったんでしょうね。帰りのタクシーの運転手、途中で窓を開けてたから。
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桂米二一門会@繁昌亭

2013/04/10 10:05
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天満天神繁昌亭が空いておりましたので、ここで初めての一門会をやらせてもらうことにしました。(ぶっちゃけた話、近づいてから借りると会場費が安いんです)

チケットぴあとコンビニ(セブンイレブン、サークルK、サンクス)で只今から発売開始です。繁昌亭窓口は11時からですよ。

ご予約メールも受付開始します。

  ☆6月10日(月) 18:30 〜
第1回桂米二一門会@繁昌亭/(G)天満天神繁昌亭(椅子席)
  地下鉄「南森町」4-B出口・JR東西線「大阪天満宮」JR3出口 3分
「寝床」他一席 米二 「くしゃみ講釈」他一席 二乗 「開口一番」二葉
前売¥2,500 当日¥3,000 全席指定 4/10(水)発売・予約受付開始
ぴあ 0570-02-9999 Pコード 597-700
電話予約:TEL 080-5338-7331 桂米二予約センター(主に留守電)
Eメール g-yan@yoneji.com 携帯メール専用 yoneji.k-yoyaku.0906@ezweb.ne.jp
PCメール予約二乗扱い redcomet_k.nijyo@kch.biglobe.ne.jp
主催・お問い合せ TEL 06-6365-8281 米朝事務所
TEL (G)06-6352-4874 繁昌亭窓口 http://www.hanjotei.jp/
 天満天神繁昌亭夜席が空いていたので急遽決めました。
 全部で五席のうち、三席の演目は当日の風任せ。
 Pコードは天満天神繁昌亭の公演全部が対象です。
 6月10日(月)6:30PMをご指名ください。
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ピアノ売ってちょうだい!

2013/04/07 11:17
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長年暮らしてると不要品が出てくるもんです。で、うちの不要品として浮かび上がったのがピアノ。古いよ〜。ほぼ半世紀前の物ですな。

どこか引き取ってくれるところを探したら、けっこういろいろあるんですね。それも「お金くれ」というところから「お金あげます」というところまで。当然「お金あげます」に候補を絞ったところ、一番条件のいいのがCMで有名な○○モトピアノ。メーカーと型番を言うただけで○万円と値を付けてくれました。ほんまにくれるのんかいな?

ここで、うちのピアノのご紹介をいたしましょう。二乗の修業時代、「七度狐」の稽古をつけておりました。その中で伊勢音頭を歌う場面があります。ところが、二乗はひどい音痴のためにまともに伊勢音頭が歌えません。

責任感に燃える私は、半音下がる微妙なところをピアノのキーを叩いて二乗に教え込みました。何度も何度も根気よく。おかげで、二乗は伊勢音頭が歌えるようになりました。下手ですが……。

以上、うちのピアノのご紹介でした。

4月某日、ふたりの力持ちのおじさまがうちへ来てピアノを持って行ってくれました。丁寧にピアノの状態を調べた上で、約束通りの現金が入った封筒を置いて。

「ほんまにくれるんや」

感心している隙に、その現金はうちの嫁が自分の懐へ入れたようです。受け取りを書いたのは私なんですよ。ま、仕方ないか。嫁入り道具として持ってきた物やからねぇ……。
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歌舞伎座の思い出

2013/04/05 15:02
では「歌舞伎座の思い出」です。2006年6月に書いたものであります。

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木挽町の歌舞伎座へ初めて行ったのは、私の高校生活が終わる頃でした。昭和51年(1976年)の2月、卒業式の少し前のこと、夜行の高速バスを利用して東京へ向かいました。歌舞伎を見るためだけの目的で。

その頃、まだ弟子入りは決まっていませんでしたが、うちの師匠の楽屋へは始終出入りをしておりました。あるとき、まだ歌舞伎を見たことがないと私が言うと、

「歌舞伎や文楽は、落語と深い関係があるので見ておきなさい」

当時、師匠の一言は神の声でした。今の師匠の一言は……。ま、それなりに神の声です。一番多い神の声は、

「ジーやん、うちへ飲みにおいで」

べつに東京まで行け、と言われたわけではないけれども、私も元来が凝り性。この東京芝居見物は毎月欠かすことなく、内弟子になる11月まで計10回に及んだのでした。親戚の家に泊めてもらい、歌舞伎座と国立劇場、それに新橋演舞場や明治座(どちらも建物は先代)、寄席を見て回りました。

今は春闘ってあるのですか? 昭和51年はとんでもない春闘で4月に交通ゼネストがありました。国鉄や地下鉄がほとんど止まってしまい、道路は大渋滞。その晩、泊めてもらうことになっていた高円寺の従兄弟との待ち合わせに遅れること3時間。今と違って携帯もないから連絡もできずに会えずじまい。その晩は寝るところがなくて、一晩かかって東京駅まで歩きましたよ。その疲れで歌舞伎座の客席で熟睡。ああ、もったいない……。

当時、私は18歳です。若かったから体力はありました。夜行バスで朝、東京へ着くでしょ。歌舞伎座を昼夜見て、次の日のお昼は国立劇場、夜はホール落語会。で、そのまま夜行バスで京都へ帰ってくるというようなスケジュール。

今は歌舞伎座、昼夜見るだけでも無理です。いつだったか暮れの京都南座の顔見世、昼夜通しで見て、次の日お尻が筋肉痛……。唸ってましたね。

けど、本当に見ておいてよかったと思います。昭和の名優をたくさん見ました。幸四郎、松緑、勘三郎、みんな先代ですよ。女形では歌右衛門、梅幸。関西の名優は十三代目仁左衛門、二代目鴈治郎。こんなすごい顔ぶれを毎月、私は見下ろしていました。……あ、たいへん申し遅れましたが、私の指定席は3階席なのでした。おぼろげな記憶ですが、当時3階席の木戸銭は1,500円程度だったと思います。

今でも忘れられない舞台がたくさんありますが、一つ挙げるとしたら宇野信夫作、先代勘三郎主演の「巷談宵宮雨(こうだんよみやのあめ)」ですね。まさに引きずり込まれました。時間の経つのがわからなくなるほど。外へ出たら午後10時を回っててびっくりしました。まだ幕が開いて2日目だったので時間が延びたのでしょう。

その歌舞伎座へ一度だけ出演したことがあります。平成9年(1997年)9月のことです。「人間国宝・桂米朝の会」、要するに落語会なんですが、私は久々に師匠の前座を務めました。

前日までは歌舞伎の公演があったそうで、楽屋に座ってると劇場のスタッフが、

「この部屋は昨日まで播磨屋が使ってました」

エッ? 昨日まで吉右衛門さんが? 私が今、座ってるところにあの「鬼平」が座ってはったんですね。思わず正座してしまいました。うちの師匠の部屋は成田屋、団十郎さんの部屋やったそうです。蛍光灯に蜘蛛の巣が張ってました。「それがどうしたの?」と言われたらそれまでなんですが、なんかそんなことでもみんなと大騒ぎしてました。だって歌舞伎座なんですもの!

開演前、舞台チェックをしました。照明や音響、これはどこでもするんですが、この日は念入りにしつこいくらい。だって歌舞伎座なんですもの!
実際に座布団まで歩いてみました。座布団まで遠いの遠くないの。他と比べると舞台の間口が異常に広いのです。私はともかく米朝は大丈夫かな? 座布団へたどり着くまでに体力消耗しますよ。だって歌舞伎座なんですもの!

座布団に座ってまだお客さまが入ってない客席を見渡すと、さすがに芝居小屋としては最大級、大きいのなんの。2,000人は入るのですからこれはもう小屋ではありません。大屋ですな。だって歌舞伎座なんですもの!

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そんなこんなで出演者のテンションは上がりっぱなし。お客さまも満員。いい会になりました。

その歌舞伎座が建て替えになるという新聞記事が、昨年の秋に出ていました。バリアフリーの問題などいろいろあるそうですが、なんかもったいないような気がしますねえ。今度はどんな小屋になるのでしょう?

歌舞伎ファンのいろんな声が出ています。ネットを検索するだけでおもしろいほど出てきます。作家の丸谷才一先生が某A新聞に新しい歌舞伎座に対する要望を書いておられました。地下鉄から劇場へ直接入れるようにしてほしいとか、エレベーター、エスカレーターのこと、女性用お手洗いのこととか、大部屋俳優の楽屋のことまで細かく希望を述べられていて、さすがと感服いたしました。

でも私が一番に希望していることには触れられていませんでした。私の希望は3階席から花道が見えるようにしてほしい。これが一番なのです。ずっと安い席から歌舞伎を見ていた私にとって、歌舞伎座の3階は一番見にくい小屋でした。

南座でも大阪の松竹座でも、花道の一部、せり上がりのすっぽんのあるところ、つまり七三は3階席からよく見えます。でも歌舞伎座だけは見えないのです。七三での役者のしどころはたくさんあるのに何も見えない。声が聞こえるだけ。そのもどかしさから、3階席全体からため息が出ていることもあるのですよ。

3階席は大向こうの掛け声が飛ぶところ、一幕見を含めて本当に歌舞伎を愛する人が一杯いらっしゃいます。きっと私の願いは叶えてもらえますよね? それとも、いつも1等席でご覧になっている方にとってはどうでもいいことですか?
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歌舞伎座、フェスティバルホール、そしてワッハ上方

2013/04/03 10:18
ニュースで東京の新しい歌舞伎座を見ました。開場、そしてこけら落とし公演の開幕、まことにおめでたいことと存じます。

前の歌舞伎座には私も思い出がいっぱいありまして、とてもここでは書きつくせないので、以前に書いたNIKKEI NETの連載「京の噺家桂米二でございます」の文章をそのうちにお目にかけようかと思ってます。このまま埋もれさすのは自分でも惜しいと思う文章ですから。

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自慢やないけど私、歌舞伎座に出てますよ。落語やってますよ。自慢やないけどね。

歌舞伎座だけおめでたいのかと思ったら、大阪のフェスティバルホールももうすぐ開場ですな。こちらもおめでとうございます。私はこっちのほうが近いですが、観に行った回数は東京の歌舞伎座のほうが多いはず。

前のフェスティバルホール、生のエリック・クラプトン先生に初めてお会いしたのがここでした。けど私は出たことありません。うちの国宝はここでも落語をやってはりますが……。

おめでたいことばっかりではございません。その陰で我々がせんどいやっちゅうほどお世話になったワッハ上方が、3月31日限りで休館いたしました。ホールは以前から使えなくなってましたが、レッスンルームや上方亭他の施設もみんな使えなくなってしまいました。

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特に展示室内の小演芸場上方亭。ここは最後まで(というても去年の秋ですが)お借りして「MINAMI出張所」という会をやらせてもらいました。昔の寄席の面影を持った親しみのある空間でした。ここでもう落語ができないと思うと寂しい限りです。

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その最後の日、ワッハ上方のスタッフの方からメールをいただきました。「今までたくさん利用していただいてありがとうございました」という内容でした。それはこっちのセリフですやん。涙がこぼれそうになりましたで。

次の日、お返事のメールを送りましたが、ひょっとしたらもう読んでもらえてないかもしれませんね。ですからここでも御礼を言いたいと思います。

ありがとう、ワッハ上方!! 私はここでも名演を残しましたで。……と勝手に思てます。
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人生は○○○

2013/04/02 08:28
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先週のご報告です。

3月25日(月)の「天神寄席@天満天神繁昌亭」はへんに愉快な会でした。私も関わっている上方落語協会の番組編成委員会で番組を決めていますが、その日はすぐ横の天満宮で筆祭があるというので、これをテーマに持ってきて実際に舞台で噺家に筆を持たせて字を書かせるという趣向にしたのです。そのタイトルが座談会「噺家書道選手権」。

それには私は出なくて、そのあと、筆にちなんだ落語を一席というので私が「代書」をフルバージョンでやってお開きという予定でした。

ところが、なんです。楽屋入りしたら座談会司会の坊枝君が近づいてきて「兄さんも出てもらえまへんやろか」と言うんです。「なんで?」て訊いたら、トップに出て座談会にも出る予定になってた桂ちきん君が、師匠のきん枝兄さんの用事でどうしても帰らないといけなくなった、と。一つ座談会に空席ができたから出てくれないかということらしいのです。

頼まれたら嫌とは言えない男気のある私ですから、わかったと言うたもんの内心ドキドキですわ。学校出てから筆なんか持ったことがない。筆ペンならしょっちゅう持ってますが……。

で、何を書くの? と訊いたら、座右の銘とか、好きな言葉とか。ま、そこらへんは適当でええということで。

仲入り後、「噺家書道選手権」が始まりました。並んだのが、小染、三歩、壱之輔の面々に司会の坊枝君。書きましたよ。仕方なく。書き始めて愕然としましたね。子どもの頃、お習字はちょっと得意やったのに、今は全然あかんやないの。字配りすらできない。最後の一文字は小さくなってしまいました。ガタガタ。

もちろん、客席からはその字は見えてません。高座というぐらいですから、こっちは高いところに居てますしね。その時の私の決断。もう1枚書いたろ。

まだ紙があったので、もう1枚同じ言葉を書きました。1枚目とあんまり変わらへんがな。

順番に公開して行きました。小染君は「良い酒良い友良い人生」。彼は書道何段という達人です。本当に上手い。次の三歩君は「一期大福」。洒落ですな。寄席文字で書きました。隣の壱之輔君は「笑門来福」。こいつはぶっちゃけた話、字が下手ということでこの日、採用されたんです。たしかに下手。

次が私。壱之輔君の次に下手だったと思います。書いた言葉は「人生は不公平」。この言葉、前のほうに座っていた劇団四季ライオンキングの皆さんに大受けでした。これはスカーのセリフですもんね。

その後、書いた物をお客さまにプレゼントするという恥ずかしい結果になって「噺家書道選手権」は終了。2枚ともプレゼントしたので写真はありません。ですから、ここで皆さんにお見せするわけにはいかないのです。ざまあ見ろ!
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じーやんの拍子の悪い日々・桂米二 2013年4月のブログ記事/BIGLOBEウェブリブログ
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