ミナミの芸妓さん
「ミナミの芸者あげて散財して、隣の侍から『お静かに』食ろうてびっくり寝に寝た」
「宿屋仇」の中のセリフです。この「芸者をあげる」の「あげる」にはどの漢字を使うのが一番正しいのかどなたかご存じないですか? 朝日新聞社監修の用事用語辞典が手元にあります(昔々の知恵蔵の付録)が、これにはたくさんたくさんほんとにたくさん用例が挙がってる(これも「例を挙げる」で載ってました)のに「芸者をあげる」の項目はおまへなんだ……。新聞社の人は昔からお茶屋遊びしなかったのですか?
戦前には何千人もいたミナミの芸妓さん。今は6人だそうです。お茶屋さんにいたっては1軒だけ。そのたった1軒の「たに川」さんへお邪魔してきました。
昨日、天満天神繁昌亭の楽日を済ませたあと「猪名川寄席」の実行委員、玉井敬友氏と髙木さん(22日「つるはし一夜の宿の会」お菓子が当たる抽選会のスポンサー)と一緒に参加したのが、このお茶屋の座敷で開かれた「義太夫&舞」の会です。義太夫は豊竹英大夫師匠、舞は古澤侑峯(ゆうほう)さん。どちらも私と因縁のある方です。英大夫師匠は噺家がたくさん義太夫のお稽古に行ってますし、侑峯さんには「猪名川寄席」に出てもらってます。底の深い因縁ですわ。
最初は侑峯さんの地唄舞「ひなぶり」だったのですが、ちょっとトラブルが……。侑峯さんがもう舞台へ出てスタンバイしてるのにラジカセが動かないのです。「たに川」の若旦那が操作してるのですが、ウンともスンとも言いません。こういうことは我々の会でもよくあること。私、ほっとけませんねん。
「ちょっとどきなはれ」
あっちこっちさわってみるのですが、らちがあきません。電源かな、と思って一ぺんコンセントから抜いて、もう一度プラグを差し直すとやっと動き始めました。その間、数分あったでしょう。あとで聞いたら侑峯さん、しんどいポーズやったんやそうです。私なら、「早いことテープ鳴らさんかい!」と叫んだら済むけど、地唄舞ではできませんわ。ほんとテープが動いてくれてやれやれです……。
そのあと英大夫さんの伴奏で「酒屋」、素浄瑠璃で「寺子屋」を堪能させてもらってからお食事です。ここでミナミの芸妓さん3人が登場です。皆さんまだほんと若い。小鶴さんという芸妓さんが、
「この間、見せてもらいました」
西本願寺の「もんぼう寄席」へ来てはったそうです。いきなり言われてびっくりしましたが、彼女は以前から落語ファンだったのです。ミナミに6人しかいない芸妓さんの中の1人が落語ファンというのはうれしいじゃないですか。
直鶴さんという芸妓さんも乗ってきて、今度の「○○寄席」にふたりで来てくれはることになりました。どの寄席かは秘密で~す。
最後は英大夫さんの手締めでお開きでした。写真の英さんの右が小鶴さんと直鶴さんです。
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