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ジーやんの拍子の悪い日々・桂米二

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ジーやんの拍子の悪い日々・桂米二
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私の周りではしばしばへんなことが起こります。落語会をやるとしょっちゅう台風を呼んでしまいます。裕次郎でもないのに“嵐を呼ぶ男”の異名を持つ上方落語の語り部、ジーやんこと桂米二の身辺雑記です。Twitter : jeeyan2
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雪道はたいへんです

2012/01/31 18:22
今日は歯医者へ行って、買い物して、銀行へ行ったら、一日が終わってしまいました。買い物は別に行かなくてもよかったんですが、カナート洛北(高野にあるスーパー)のポイントが明日になったら消えてしまうので、お買い物券に交換せんといかんかったんです。500円のお買い物券のために行きました。そのためにガソリン代がいくらかかったか? なんて野暮なことは訊かないでね。

それにしても寒い。どれくらい寒いかというと、昨日の「かねよ寄席」が満席にならなかったほど寒いのです。けど、この厳しい寒さの中、並んでいただくお客さまにはほんと頭が下がります。

この頃、夏は猛暑で冬は極寒。これで自然は帳尻を合わせてるのかもしれません。でも雪の重さで橋が崩落するなんてニュースを見ると、そこまで降らなくても、と思います。また、雪下ろしをしなくてもいいところに住んでいることのありがたみを痛感いたします。

さっき、たまたま読売テレビを見ていたら、JAFこと日本自動車連盟の救援活動を密着取材してました。雪道で動けなくなった車を助けるレッカー車のお仕事を見せてくれたのです。

JAFのレッカー車と言えば私のマクラです。「池田の猪買い」や「不動坊」のマクラでよくおしゃべりする「大雪レッカー車騒動」、一昨日の一門会でもお聞かせしてしまいましたね。よく受けました。実話って面白いでしょ? ネタにさせてもらっているくらいですから、レッカー車の活動って気になりますがな。じっくり放送を見せてもらいました。

JAFのお兄さんたち、たいへんですね。よくわかりました。おんなじ人が日に2回雪道で動けなくなって、2回もJAFを呼んだというのがありました。神戸ナンバーの軽のワンボックスが福知山近辺で2回もレッカー車をチャーターしたのです。思わず突っ込みましたで。

「帰れよ!」

1回呼んで助けてもらったら、もう素直に神戸へ帰ったらええんですよ。おもろい兄ちゃんが居てます。なんぼ会員はタダやからって、JAFの兄ちゃん気の毒ですわ。

けど面白いドキュメンタリーでした。JAFには落語のマクラに使えそうな話がもっともっとありそうです。

私の「大雪レッカー車騒動」、今度しゃべるのは2月6日(月)「京の噺家桂米二でございます@天満天神繁昌亭」です。またかという顔をせんと聴いてくださいね。

写真は6年前の京都の大雪、東大路通です。

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初の桂米二一門会

2012/01/30 11:58
弟子と一緒に一門会をするなんて考えてもみなかったのですが、とうとうこんな羽目になりました。というか昨年やった「二乗をしごく会」の続編を考えていたんです。いつまでも自分で行動を起こさない弟子の尻を叩くために「しごく会」を企画したのですが、その2回目をね。

前座には二葉を出してやろう。待てよ。それやったら、いっそのこと「一門会」というタイトルを付けたほうがええかな? お客を騙せる……もとい、たくさんのお客さまに来ていただけるのに違いない。そう思ったのです。というわけで昨日、初めての「桂米二一門会@文芸会館」を開かせていただきました。

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私の予想通り、たくさんのお客さまが(騙されて)来てくれはりました。皆さん、初物に食いついてくれはります。二葉の初舞台しかり。本当にありがとうございました。お客さまを狭い和室へ詰め込んで、かなり窮屈な思いをさせてしまいましたが、来てよかったと思っていたたいだことと思います。でしょ?

それに「一門会」というタイトルを付けてよかったと思います。二乗も二葉もがんばってくれましたから。そのことが素直に嬉しいです。こんな気持ちのいい会はそんなにあるもんじゃないですから。

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というわけで5時過ぎから打ち上げ。今回はいつもご贔屓にしてくださる古川町の万両さんに無理を言いました。二乗も二葉もよく飲みました。修業中の弟子に酒を飲ませることの是非を言われることがありますが、私はかまわないと思ってます。そうでないと、内弟子のときの自分を否定せんならんもん。但し、二葉は時々未成年と間違われるますから気をつけんといけませんが……。

結局は午前様です。着替えもせずにバタンキューでした。寒かったぁ。気ぃつけんと風邪引きまっせ。


次の一門会は大阪、動楽亭です。

  ☆2月26日(日) 14:00 〜
第1回桂米二一門会@動楽亭/動楽亭(後部椅子席)
  地下鉄御堂筋線・堺筋線「動物園前」1番出口すぐ
  ファミリーマート左の階段を2Fへ
「開口一番」二葉 「強情灸」「初天神」二乗 「貧乏花見」「軒づけ」米二
予約¥2,000 当日¥2.300 ご予約・お問い合せ TEL 080-1491-1614 カゴタニ
メール予約 g-yan@yoneji.com  http://www.beicho.co.jp/dourakutei.htm


その前に皆さん、こっちを忘れてはります。チケットたくさん売れ残ってます。

  ☆2月6日(月) 18:30 〜
第12回京の噺家桂米二でございます@繁昌亭/天満天神繁昌亭(椅子席)
  地下鉄「南森町」4-B出口・JR東西線「大阪天満宮」JR3出口 3分
「酒の粕」「饅頭こわい」「不動坊」米二 三席
「癪の合薬」二乗 ゲスト「厩火事」ざこば
前売¥2,500 当日¥3,000 全席指定
ぴあ 0570-02-9999 Pコード 597-700
主催・お問い合せ TEL 06-6365-8281 米朝事務所
TEL 06-6352-4874 繁昌亭窓口 丸留の果物が当たる大抽選会あり
後援:丸留果物店 http://www.marutome.com http://www.hanjotei.jp/
メール予約 g-yan@yoneji.com

携帯・スマホからのメール予約は、必ず私のメールアドレスからの受信を許可する設定にしておいてくださいね。この間も「二枚お願いします」というだけのメールが来て難儀しましたで。どこの誰かわからんし、どこの会の予約かわからんし、メールに返信したら受信できる設定になってなくて返送されてくるし、打つ手無しでしたわ。あれはいったい誰やったんでしょ?

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復活総選挙カップヌードル

2012/01/27 10:28
カップヌードルが誕生したのは私が中学3年生のときですから、1972年頃ですね。……今、日清食品のHPで調べたら、1971年でした。1年違うた。悔しい。でも初めて食べたのは1972年なんですよ。40年も前のことなんですな。

発売されてもなかなか関西では手に入らなくて、初めて食べたのは北海道の旭川駅の待合室でした。SL撮影に行ったときです。こんなところで食べたから、鮮明に記憶に残っているんですね。とにかく売店で売ってるのを初めて見たんです。

お湯もくれるというので、即購入。当時、袋のインスタントラーメンが30円くらいだったと思いますが、カップヌードルは100円しました。チキンラーメンとはまた違う味で具も入ってるので美味かったです。

その後、関西でも手に入るようになって、他の種類も発売されました。そのときに私を悩ませたのが、カップヌードル天そばです。私は天性の蕎麦アレルギー。蕎麦を食べるとあちこちが痒くなってしばらく寝込みます。でも、これなら大丈夫かも?

買って食べてみました。勇気を出して。ある意味、カップヌードル天そばを馬鹿にしてたのかもしれません。どうせ、ほんまもんの蕎麦粉は使うてへんやろ、と。

見事に出ました。アレルギーが。かゆくなって、しんどくなったのです。恐れ入りました、カップヌードル天そば様。あなたはほんまもんだったのですね。

去年、カップヌードルの総選挙が行われました。私は復活してほしくない第1位に天そばを投票したかったのに、そんなことはできず無視しておりました。結果を知ったのは数日前です、なんで第1位の栄冠に輝いたのが、天そばやねん? 世の蕎麦アレルギーの意見は抹殺されたのです。

私は2位に輝いたブタホタテドリを愛してます。買い占めとこうっと。

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米朝一門ご挨拶

2012/01/04 12:28
2日、3日と動楽亭昼席終わりでサンケイホールブリーゼへ駆けつけるという日が続きました。動楽亭昼席は出番ありでサンケイは出番なしでした。

動楽亭は実にいいお客さまで、いつものひねたお客……。もとい、常連のありがたいお客さまだけではなくて、我々が言うサラのお客、つまり初心者というか落語に対して新鮮な気持ちで聴いてくださる方が多かったようです。

2日はトリだったので、お客さまに訊いてみました。

「このあと、サンケイホールへ掛け持ちする方は居てはりますか?」

一人の男性がさっと手を挙げはりました。ありがたいお客さまですね。

「ではサンケイに間に合わんように長くやります」

こんなことを言うから私は嫌われるんでしょうが、メッチャ受けましたがな。

そのお客さまはサンケイに間に合ったと思いますが、私らは間に合わなんだ。楽屋におせちがあったから、少し飲んじゃったんです。2日のサンケイホールブリーゼの舞台での「米朝一門ご挨拶」は見逃してしまいました。うちの国宝も並ぶから見たかったんですが……。

3日もおせちがあるから飲みかけたのですが、誰かが「もう傷んでるかもしれんで。やめといたほうがええ」と言うたので、飲みませんでした。おかげで「米朝一門ご挨拶」に間に合いました。

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そのあとは一門の皆さんの至芸を勉強させてもらおうと舞台袖の椅子に座ったのですが、ここのホールは舞台袖からは全然舞台が見えません。仕方なく声だけ聴いてたのですが、声だけやと私、すぐに眠くなるのです。至芸をバックにこっくりこっくり……。

何しに来たんや? と反省の色もなく打ち上げのビールを飲み出した……というようなお正月でした。
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年越うどん

2012/01/01 10:17
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

これを「あけおめ」「ことよろ」で済ませるなんて、嫌な風習だと憤慨していました。それなのに、とっくの昔にパソコンのユーザー登録単語に登録していたことに気がついて、自分自身に呆れたのは何年前だったでしょ? いやあ、短縮語ってほんと便利ですよね。

Twitterに書いたように、昨日の大晦日は年賀状を年内に書き上げるという快挙をなしとげ、一人で祝杯を挙げておりました。そして投函しに行ったら何かお空に怪しげなものが……。UFOかと思たら飛行船でした。このところ、ずっと京都に滞在してはりますね。夜は光まで発してます。

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さて大晦日には年越蕎麦を食べるという実に忌まわしき風習があります。毎年、蕎麦アレルギーの人はなぜ怒らないのでしょう?

私の知人に子どもの頃、正月になったら体調を崩して寝込んでた人がありました。その原因は蕎麦アレルギーなのに年越蕎麦を食べたからなんです。それに気がついたのは大人になってからだというのですから呑気な人です。

我が家では昔は私の蕎麦アレルギーに同調して、全員うどんをいただいておりました。そのうちに家族の考えはあっけなくバラバラになり、今は遠慮せずにみんな蕎麦を食べてます。子どもはなぜ親の血を引いて蕎麦アレルギーにならないの? それともボクの子じゃないの?

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これはまだ未完成の写真です。このあと、海老天他を乗せました。

食べるものはバラバラになったけど、せめて別釜でゆがいてくれたということを感謝せなあきませんかね?

どうぞ皆さん、今年こそは、本当に今年こそは、みんなで笑える年にいたしましょう。私は落語で少しだけお手伝いをさせてもらいますよ。
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クラプトン&ウィンウッド

2011/12/30 19:10
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いささか時間が経ってしまいましたが、11月から12月にかけて行われたエリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッドのコンサートについて記しておきます。

この二人のジョイント・コンサートが開かれた最初の地はニューヨークでした。2008年2月のことで、この模様はすでにCDとDVDで発売されてます。それからずっと日本公演を待っていたのですが、3年半後にやっと実現しました。けど、その前にジェフ・ベックとの共演が実現してしまいましたねぇ。

それにしてもクラプトンのコンサート活動はすごい。ソロやジョイント、チャリティなど、毎年かなりの数をこなしてはります。ステージに居るのが好きなんでしょうねぇ。

11月17日の札幌から始まった日本公演は12月10日の東京、日本武道館まで続きました。計13回。そのうち私は11/21大阪、11/22大阪、11/30名古屋、12/6東京、12/7東京と計5回、出席してきました。別に出欠を取られたわけやないけど……。

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いつもファンサイトでは今日の出来はよかったとか、悪かったとかで賑わいます。神と呼ばれるクラプトンですが、もちろん出来不出来はあります。しかし、今回は安定してはりまして、連日かなりの高得点だったと思います。その代わり、ブッチギリの日がなかったとも書かれてましたが、そんなことはどうでもええのです。とにかく66歳であれだけがんばるんですから。ま、安定していたのは相方のウィンウッドさんとの相乗効果でしょうね。

日本公演までの3年半の間にアメリカやヨーロッパでツアーしていますから、ちょっとずつセットリストも変化がありました。最初に演奏されていた“Forever Man”や“Little Wing”がはずされてしまったのは誠に残念。その代わり“Key To The Highway”や“Hoochie Coochie Man”などのお馴染みの曲に替わってしまいました。これって前回のソロ・ツアーでもやってますやん。そこがちょっと不満ですが……。

でもウィンウッドのボーカル、クラプトンのギターで“Georgia”が聴けたのはよかった。それから圧巻はジミヘンの“Voodoo Chile”です。これがやたら長い。15分以上はあったでしょう。「道具屋」や「動物園」と変わらへん。

バックのミュージシャンはこのところほぼ一緒ですが、ドラムスがスティーヴ・ガッドに戻りました。この人がベストでしょう。やっぱり一番クラプトンとしっくり行くように思います。迫力もある。貫禄ですな。けどこの人も66歳。

相変わらずクリス・ステイントンのピアノもすばらしい。この人はもうちょっと年上違う?

それにしても年々増えてるように思うのが、会場で販売されるグッズ。いつも私が買うのはプログラムとTシャツだけ。今回、プログラムには個数限定でマグカップが付きました。これ欲しい。大阪ではすでに予定数が出たらしく手に入りませんでした。早く行けばよかったのですが、前祝として飲んでから行くので、ギリギリになったんです。

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こうなったら名古屋ですな。新幹線ではなくて安くあげるために近鉄特急で行きましたよ。チケットショップで株主優待券を売ってたから。ところが用事で遅くなって、京都駅までタクシーに乗ったからなんにもならん。

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でもタクシーのおかげで名古屋の会場へは開演2時間前に着いたので、見事マグカップを2個ゲット。こんなんが嬉しいのです。

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ところが、このマグカップ。うちへ帰ってから裏をよく見たらこんなことが書いてありました。

「耐熱温度80℃」

熱いコーヒーは飲めませんな。おまけに電子レンジ、食器洗浄器、乾燥機が使えない。何飲むのに使う。酒か? これも強いアルコールはダメと書いてある。結局、いまだに使い道が見つからず眺めてるだけ。

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それはともかく何度も何度も日本へ来てくださるエリック・クラプトン様、ありがとう。今回はスティーヴ・ウィンウッド様もありがとう。よかったです。楽しかったです。

今回のツアーでクラプトンの日本での通産公演回数は199回になりました。私はそのうちの51回しか観てませんねん。
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覚える

2011/12/24 08:01

今年、ネタ下ろしは三つでした。ネタ下ろしというのはその演目を初めてやることです。調べたら辞書には載ってませんな。噺家はしょっちゅう使う言葉やのに。

三つ目、最後に取り組んだのが「餅屋問答」。東京落語では「蒟蒻問答」です。やりたいとは思てたけど、ただただ思てただけ。実際にやることはないと思てました。ところが、注文が来たんですよ。あるお寺関係から来年2月にやってくれと。落語で寺や坊さんが出てくる噺はわんさとあるけど、あんまり誉めてません。どっちかと言うたら、ボロクソに言うてるほうが多いのです。「植木屋娘」なんか「クソ坊主!」の連発やもんね。

でも注文です。ギャラの提示がありました。そのギャラに釣られて「はい、やりましょう」と言うたわけです。時間はあるし……。時間はあっても結局はギリギリまで覚えないんですけどね。で、まず自分の落語会でやろうと決めて、今月の京都「臨時停車の会」と大阪「つるはし一夜の宿の会」でやります、と発表いたしました。

やると決めたものの考えたらテキストがない。うちの師匠はやらないしね。わりとよくやっている後輩の米紫君に「教えて」と頼みました。彼には入門直後、「東の旅発端」を稽古してあげた義理があるから嫌とは言わないでしょう。これは一種の脅しですな。親切な米紫君はDVDを貸してくれました。映像もあるやなんて、テキストとしてはもう充分過ぎます。

でもこれを観て愕然としました。覚える言葉が難し過ぎる。漢字ばっかり。何度も聴いてますから、ある程度は覚悟してたけど、ここまでとは……。

だいたい噺家を35年もやってると覚えるコツをつかんでますから、丸暗記なんてしません。決めるべきところは決めないといけないけど、全体的な流れをつかんで、あとはそのときの自分の言葉でしゃべるようになってきます。つまり、やるたんびにセリフは全然違うわけです。ポイントを押さえて内容さえ間違ってなかったら、それでいいわけです。逆にそれが魅力になるとも言えましょう。

ところが「餅屋問答」はそれができなくて、どうしても丸暗記しなければならないところがたくさんたくさんあるんですな。なんという嫌な噺なんでしょ?

一番覚えにくいところをご紹介します。セリフではなくて地の部分、説明です。漢字は青蛙房刊「圓生全集第四巻」の「蒟蒻問答」を参考にしました。


案内に連れられまして本堂へ。左右の障子を押し開きますと、寺は古いが曠々としたもので、高麗縁の薄畳は雨漏りのために茶色と変じ、狩野法眼元信の描きしかと怪しまるる格天井の一匹龍は鼠の小便のためにその姿を染みの中に没し、欄間の天人は雲の巣に綴じられ、金襴の巻き柱は剥げ渡り、幡天蓋は朝風のために翩翻と翻り、正面に釈迦牟尼仏、傍らに行其菩薩の尊蔵あり。一段前に法壇を設け一人の老僧。頭に帽子をいただき、手には払子をたずさえ、まなこ半眼に閉じ、座禅観法寂寞として控えおるは、当山の大和尚とは、真っ赤な偽り。なんにも知らん餅屋の親父さん。


六代目三遊亭圓生師匠の「蒟蒻問答」のカセットテープもライブラリーとして保存してあります。聴きたかったけど、そのカセットを探し出すのに3日はかかりそうなのであきらめました。

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こうなったら自分なりの台本をつくって、あとはひたすら覚えるだけです。……覚えました。覚えたことは覚えたけど、頭の回路を通して口に出てくるまで時間がかかり過ぎるのです。「高麗縁の薄畳」というセリフが出てくるのに30秒もかかる。次の「狩野法眼元信」まで20秒。頭で覚えたけど体で覚えてないからですな。

若い頃はなんでもなかったことが、今はできないことにガッカリ。ガッカリしたまま「臨時停車の会」の日を迎えました。やっぱりここの部分、ちゃんと言えませんでした。狂言の師、丸石やすし先生も聴きに来てくれてました(お目当ては二葉やったらしい)が、あとで「モゴモゴ言うてはりましたなぁ」と言われてしまいました。反省……。

この日のお客さまの反応はまことに良かったので、全体的にはよく受けたのですが、これではダメです。それから努力しましたよ。毎日毎日、歩いていても電車の中でも「案内に連れられまして本堂へ……」のくり返し。こんなに一生懸命ネタと向かい合ったのは何年ぶり? 他にも同じように難しいところが何ヶ所かあるので、その辺りも中心にブツブツブツブツ……。

迎えた「つるはし一夜の宿の会」。ここはいつもお客さまが少ない(足が痛いからやろうね)のですが、その分、お客さまの精鋭とも言えます。毎回よく受けるんです。雰囲気最高!

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今度はなんとか言えました。完璧ではなかったけど、だいたいクリアできました。両方聴いた人によると、先週に比べたら格段の進歩やそうです。先週は「ごめんなさい」なんですが……。

結論は、こういう落語は20代に覚えるべき、ということですな。うちの師匠が「何か覚えるのなら20代に覚えなさい」とよく言うてましたが、今になって身に染みてよ〜くわかります。だから二乗君、君はもう遅いよ。


さて明日ですが、9年間続いた「墨染・そうぞう寄席」が最終回を迎えます。会場のそうぞう館が1月末で閉館になることに決まったのです。また一つ寂しいことが増えましたな。最終回、皆さんで盛り上げてくださいね。

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