夫婦八景~米朝まつり

千穐楽が済んでみんなが言いかけてるので、私も言わせてもらいます。

うちの師匠に会いに行ったのに会えなかった。桂米朝の役をやった役者は今まで誰もいないのに、最初にやった人がこれでは師匠に申し訳がない。誰がこの人に決めたの? 3月20日からの「米朝まつり」で弟子が頑張るしかない。来てね。

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野村さんと長嶋さん

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今から40年以上前、私が内弟子で、桂米朝の家に住み込み修業をしていた頃のことです。家の前にどでかいリンカーンが横付けされました。あんな大きな車を間近で見たのは後にも先にもこの時だけですわ。

運転していたのは野村克也氏。南海ホークスを解任されたばかりでした。うちの師匠のところへ挨拶に来られたのです。

それよりもこのリンカーンをなんとかせんとあきません。家の前はバスが通る道でとても駐車なんかできません。お隣の横の道なら少しはかまへんやろうというので、私がお隣に頼んで車を停めさせてもらいました。

うちの師匠は野球とはあまり縁のない人でした。当時、日本テレビの「春夏秋冬」という番組にうちの師匠がレギュラー出演していましたが、一緒に出ておられた草柳大蔵氏から頼まれたそうです。「野村克也の後援会をつくるから発起人になってくれ」と。野球のことなんかなんにも知らんのに引き受けはったんですな。それでわざわざ挨拶に来はったんです。

おかげでどでかいリンカーン……いや野村さんに間近で会えました。野村が来るという噂を聞いて、南海ファンの春若兄さんも来はりました。なんの関係もないのに。でもうちの師匠にとっては、熱烈な野村ファンが横に居てくれたら心強かったことでしょう。居てなかったら、なんの話をしていいかわからんところですがな。

野村監督のご冥福をお祈りいたします。

同じ内弟子の頃、師匠と一緒に芦屋の竹園旅館へ行きました。今はホテル竹園になってるらしいですが、竹園といえば巨人軍。阪神とのオープン戦が終わった後でした。

「いやあ、負けちゃいました」

と軽いノリで長嶋茂雄監督。監督に就任して2年目、つまり最下位になった翌年でした。オープン戦とはいえ阪神に負けたんですねえ。

なんでこの竹園旅館へ行ったかというと、当時、長嶋さんがラジオの帯の番組を持っておられて、そのゲストに桂米朝が招かれたんです。5分ぐらいの番組を一週間分、あっという間に録音は終わりました。

終了後、うちの師匠が恐る恐るこんなことを言い出しました。

「サインしてもらえませんやろか」

後にも先にもうちの師匠がサインを頼んでいるのを見たのはこの時だけです。長嶋さんは快諾してくれはって色紙にサラサラサラサラ……。その早いこと。

長嶋さんは私に向かってこんなことをおっしゃいました。

「あなたは師匠のお弟子さん? 修業中かぁ。頑張りなさいよ!」

背中をバーンと叩かれました。なんと気さくな人なんや、と思いました。

長嶋名誉監督のご……もとい、いつまでもお元気でいらっしゃることを切に願っております。

写真は2001年、野村さんが阪神監督の頃、甲子園球場で撮った唯一の写真です。


さて、今夜と月曜日の会です。ブログ、SNSで見たとおっしゃっていただいたら、予約料金です。

「御神酒徳利」は昨年秋にやらせてもらって、今日が2回目です。今日、うまく行かなければもうお蔵入りかも?

  ☆2月14日(金) 19:00 ~ (開場 18:30)
第56回こころ坂・楽々落語会/集酉楽Syu-Yu-Raku・サカタニ(椅子席)
 京阪「七条」川端七条東入南側・ファミリーマート2F
 (G)ファミリーマートサカタニ京阪七条店
「つる」二豆 「短命」二乗 「厄払い」米二 「御神酒徳利」米二 糸:公美子
前売・予約¥2,500 当日¥3,000 ユース(25歳以下・要年齢証明)¥500 協力:京都女子大学落語研究会
問&予:サカタニ(月曜定休) TEL (G)075-561-7974 FAX 075-561-6710
PCからのメール info@sosake.jp
または桂米二予約センター TEL 080-5338-7331(主に留守電)
PCメール・Gmailはこちら g-yan@yoneji.com
携帯メール(docomo・ezweb等)はこちら yoneji.k-yoyaku.0906@ezweb.ne.jp
 第56回を迎えた極上の空間での落語会です。いつもよく笑ってくださるお客様に感謝。
 噺家にとってしゃべりやすい、お客様にとって聴きやすい会です。
 この日はバレンタインデーですが、他意はありません。……嘘です。
集酉楽 Syu-Yu-Raku サカタニ

サカタニ地図

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今回から果物抽選会は丸留さんの他にフルーツキングさんにも協力していただきます。こうご期待!

  ☆2月17日(月) 19:00 ~ (開場 18:30)
第71回桂米二不定期落語会/太融寺本坊2F(椅子席)
 梅田・北区太融寺町 TEL (G)06-6311-5480 (G)太融寺
「七度狐」二豆 「軒づけ」米二 「真田小僧」二葉 「抜け雀」米二 糸:公美子
予約・案内葉書持参¥2,500 当日¥3,000 ☆ユース(25歳以下・要年齢証明)¥500
問&予 TEL 080-5338-7331 桂米二予約センター(主に留守電)
PCメール・Gmailはこちら g-yan@yoneji.com
携帯メール(docomo・ezweb等)はこちら yoneji.k-yoyaku.0906@ezweb.ne.jp
◎高級果物抽選会有 後援:丸留 TEL06-6351-0901 フルーツキング TEL06-6469-6455
 大阪での桂米二落語会の原点がこの太融寺の会です。だいたい年3回開催。
 果物抽選会ですが、新たにフルーツキングさんが果物を提供してくださることになりました。
 丸留+フルーツキングで、さらにパワーアップした高級果物が当たります。
 この会も社会人、学生さんに係わらず25歳以下は500円で聴いていただけます。
 太融寺大門は5時半に閉まりますが、南側大門左側通用門からお入りください。
果物専門店 丸留

フルーツキング

太融寺

太融寺地図

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米朝・絹子とおもろい弟子たち

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うちの師匠、桂米朝と米朝夫人、我らがママこと中川絹子さんのことがお芝居になりました。「なにわ夫婦八景(めおとばっけい)~米朝・絹子とおもろい弟子たち」は道頓堀の松竹座で上演されています。

「おもろい弟子たち」と付いてるぐらいですから、弟子も出てきます。桂米二も出てます。いや、私は出てませんよ。でも桂米二は出てます。ややこしいなあ。つまり、桂米二の役をやっている人が居る訳です。桂團治郎君でした。気の毒に。そこでツーショット。実物より10センチは背が高いやないの。

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物語は戦前から始まって、戦後、うちの師匠と奥さんが出会うところ、結婚して世帯を持ち、子どもが生まれ、内弟子を育て、長男の中川明君が弟子入りして桂小米朝になり、時は流れて人間国宝に認定されるところまでを描いています。ハイライトは明君が弟子になるところ、修業を終えて独り立ちしていく辺りかな?

弟子として登場するのは小米(枝雀)、朝丸(ざこば)、米蔵、千朝、吉朝、米八、そして私、米二まで。つまり一番下っ端として描かれてます。奥さんのことを書いた廓(かまえ)正子著「なにわ華がたり」を元にそこへいろんなエピソードを盛り込んで芝居はできています。

そのエピソードを脚本、演出の堤泰之先生に吹き込んだのが我々弟子です。昨年秋にざこば、千朝、米二、米團治、そこへ米朝事務所の滝川部長も入って、覚えてる限りのエピソードを飲みながら5時間ぐらいしゃべりまくりました。おもろかったわ、この時の話。でも中には公にできないこともありまして……。

米朝役の筧利夫さん、絹子役の真琴つばささんが関西の人ではないので、訛りがちょっと気になりましたが、奥さんはふっと私の目の前に現れたような気がしました。いろんなことを思い出しましたねえ。

40年前になりますが、今の米團治君が弟子入りしたいと言うた時に、枝雀、朝丸、内弟子の私の前でうちの師匠がこんなことを言うたのを、私ははっきり覚えてます。朝丸だったざこば兄さんは覚えてないそうです。

「明が噺家になったら、わしゃ明を贔屓にするで」

正直な人やございませんか。親としてのこんなお言葉があったのです。脚本には採用されませんでしたが……。

「なにわ夫婦八景」は16日(日)が千穐楽です。

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ロビーにはいろいろ展示がありまして、「米朝愛用の見台」もその中にありました。厳密にいうとちょっと違うんですけど。

これはお芝居にも名前だけ出てくる寄席、戎橋松竹の見台と聞いています。内弟子部屋にずっと置いてありまして、我々内弟子の稽古用の見台として使われていました。それだけではなくて、普段はテーブルとしても使われてました。何か書き物をする時に重宝しました。他になかったんです。眠くなって見台に突っ伏して寝てたこともありました。……これは言わんほうが良かったかな?

近々の落語会はこれです。

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ちちんぷいぷい 二葉密着取材

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二葉が入門したのが2011年3月9日。東日本大震災が同年3月11日。2日違いです。もし先に東日本大震災が起きていたら、私は二葉を弟子に取っていなかったでしょう。大きな災害があると我々のような仕事は激減するので、とても弟子を育てる余裕はなくなってきます。そういう意味では二葉と私は縁があったのでしょう。

女の弟子を取るなんて考えたこともなかった。仮に弟子志願が来てもはじめから断るつもりでした。なぜかと言うと、もともと落語は男が男を演じ、男が女を演じるようにできている芸だからです。つまり歌舞伎と同じで男の世界なのです。と言うて女性落語家を否定してる訳やないですよ。

「女にはどう教えたらええかわからへんさかい、わしゃ女の弟子はよう取らん。よう育てんねん」

桂米朝がよく言うていた言葉です。当然、私も同じ考えでした。ですから、二葉が最初に「弟子にしてください」と言うて来た時も同じように言いました。でもなぜか心惹かれるものがあったのも事実です。当時は爆発したようなアフロヘア。私の目は彼女の顔より頭に釘付け。なんでこんな子が俺の弟子になりたいねん? こういう子を無下に断ったら後悔するのと違うやろか?

実際、弟子にしてみたら……後悔しました。弟子にしたことを。なんでこんな手間のかかる子を弟子を取ったんや?

でも今は「無下に断ったら後悔するのと違うやろか?」と思ったことが正解だったように思います。他の弟子は除く。二葉はそれだけ成長しました。

注目してくれる人も多くて、最近はマスコミにも登場しています。ラジオのレギュラー番組もありますし。1本だけですが。

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先日の「臨時停車の会」で二葉が密着取材を受けていました。テレビカメラが二葉を撮りまくったのです。その番組は、関西の皆さんがよくご存じの「ちちんぷいぷい」。私も少しは収録に参加しましたから映ってるはずです。あ、私、鼻声です。

本日1月31日(金)放送です。時間はたぶん午後2時15分頃。関西ローカルですが、宮崎でも放送してるみたいですね。知らなんだ。

さあ、ついでに落語会のご紹介を。日曜日の会を二つ。

音太小屋はネタゴヤと読みます。狭くて汚いライブハウスでほんまにエエトコです。でも以前よりは綺麗になりました。大好きなスペースで気持ち良くしゃべれます。もちろんマイク無し。

  ☆2月2日(日) 14:00 ~ (開場 13:30)
第57回桂米二音太小屋寄席/天満・(G)音太小屋(2F・椅子、腰掛席)
 大阪市地下鉄・阪急「天神橋筋六丁目」東へ徒歩5分
「商売根問」慶治朗 「植木屋娘」米二 「紙入れ」鯛蔵 「火事場盗人」米二 糸:陽子
予約・案内葉書持参¥2,500 当日¥3,000 ユース(25歳以下・要年齢証明)¥500
問&予 TEL (G)06-6353-6985 FAX 06-6353-6984 音太小屋(日本会計用品内)
PCメール(音太小屋) tsmtz@yahoo.co.jp
または桂米二予約センター TEL 080-5338-7331(主に留守電)
PCメール・Gmailはこちら g-yan@yoneji.com
携帯メール(docomo・ezweb等)はこちら yoneji.k-yoyaku.0906@ezweb.ne.jp
 3ヶ月に一度開催の予定ですがなかなかうまく行かず、今回は前回から2ヶ月後です。
 樋之口町交差点西南角から少し西の「米二幟」が目印。その超細い路地を入ってすぐ。
 終演後、参加料1,000円(1ドリンクと軽食付き)で懇親会あります。お代わりは別料金。
音太小屋

音太小屋地図

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その次の日曜日は「びわ湖浜大津寄席」。年3回開催のうち2回は京阪電車、びわ湖浜大津駅の隣のスカイプラザ浜大津。1回は上栄町駅に近い奏美(そうび)ホール。今回は奏美ホールです。小ぢんまりした音楽用のホールで、声がよく響きます。もちろんマイク無し。マイク使ったら……これが喧しいんですわ。

  ☆2月9日(日) 14:00 ~ (開場 13:30)
第11回びわ湖浜大津寄席番外編/(G)奏美ホール(椅子席)
 〒520-0057 滋賀県大津市御幸町6-9 TEL 077-524-2334
 京阪電鉄京津線「上栄町」東へ徒歩3分
 JR東海道本線「大津」北西へ徒歩7分
「ちはやふる」米輝 「書割盗人」まん我 「持参金」米二 「宿屋仇」米二 糸・益子
予約¥2,500 当日¥3,000 ユース(25歳以下・要年齢証明)¥1,000  全席自由
問&予 TEL 080-8941-7211 江口 ※留守番電話
実行委員会 PCメール・Gmailはこちら biwakohamaotsuyose@gmail.com
携帯メール(docomo・ezweb等)はこちら biwakohamaotsuyose@docomo.ne.jp
桂米二予約センター PCメール・Gmailはこちら g-yan@yoneji.com
携帯メール(docomo・ezweb等)はこちら yoneji.k-yoyaku.0906@ezweb.ne.jp
主催:びわ湖浜大津寄席実行委員会  後援:FMおおつ
 諸般の都合で、今回は京阪電車「上栄町(かみさかえまち)」の奏美ホールです。
 その次はまたスカイプラザ浜大津の予定です。ややこしくてすみません。
 年3回のうち2回はスカイプラザ浜大津、1回は奏美ホールで開催です。
 ご予約は実行委員会、桂米二予約センターのどちらでも承ります。
 奏美ホールは音楽用の小ぢんまりとした素晴らしいホールです。
びわ湖浜大津寄席ブログ

奏美ホール

FMおおつ

奏美ホール地図

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上方落語勉強会・桂三金君のこと

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昨年11月に僅か48歳でこの世から居なくなった桂三金君。新作落語の印象が強いけど古典落語にも通じていて、仲間内にも人望が厚かった男でした。

上方落語協会若手公演委員会(桂米二が委員長)で新作落語の新しい企画を立ち上げかけているのですが、メンバーに自作の新作落語を手がけている噺家が居なかったので、三金君を招いて意見を聞いているところでした。電話でもいろいろと話をしたので、その熱い声がまだ耳に残っています。今更ではありますが、ご冥福をお祈りいたします。

その三金君に最後に会ったのが「上方落語勉強会」。毎回、新作落語を演じてそのタイトルをお客に決めてもらう「名づけ親はあなたです」に出演してもらいました。自作以外の新作は珍しいのですが、くまざわあかね先生の新作落語に挑んでくれました。お客様からの投票でタイトルは「ある時↑ある時↓」に決まりました。矢印が入るという異色のタイトルです。これから彼がこのネタをどう成長させて行くのか楽しみにしていましたが、叶わぬことになってしまいました。

その打ち上げでも三金君はよく食べてましたね。私、その時も訊いたんですよ。心配になって。「体は大丈夫か? どこか悪いところはないか?」と。大量に注文したので、勘定もちょっと心配でしたが……。

「全然。大丈夫っす」

それが彼の答えでした。でも……。

ひょっとして自作以外の新作落語が重荷になっていたということはないやろうね? それぐらい普段やらないことに取り組むのはしんどいことなんです。私もこの企画で新作落語を手がける時は、それはもう苦しんでますから。

で、次のこの「名づけ親はあなたです」の演者は桂坊枝君です。明日です。坊枝君、体は大丈夫かい?

  ☆1月29日(水) 18:30 ~ (開場 18:00)
第256回上方落語勉強会/京都府立文化芸術会館3F和室(一部椅子席)
 河原町通・市バス「府立医大病院前」すぐ
 京阪「出町柳」or「神宮丸太町」徒歩12分 有料P有
「阿弥陀池」文五郎 「あわての使者」そうば
「小佐田定雄新作Vol.99・お題の名づけ親はあなたです-その119」坊枝
「池田の猪買い」米二 「幸助餅」菊丸 糸:陽子
前売・予約¥1,800 当日¥2,000 友の会予約¥1,500 学生¥1,500
限定20席パイプ椅子席予約¥2,000 同友の会予約¥1,800
問&予 TEL (G)075-222-1046 (G)京都府立文化芸術会館
PCメール・Gmailはこちら g-yan@yoneji.com
携帯メール(docomo・ezweb等)はこちら yoneji.k-yoyaku.0906@ezweb.ne.jp

京都府立文化芸術会館

京都府立文化芸術会館地図

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三金&石松。珉珉で大食漢が二人揃った時の写真です。この日の勘定は高くつきました。

米二・塩鯛二人会

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昨年は病気休演で出られなかった桂塩鯛さん。今年は元気に出演してくれます。その代わり、私が風邪引きです。昨年からずっと引きずってる。この間、NHKで私の「風の神送り」が放送されて、風の神が退散してくれたと思たのに。桂米二の「風の神送り」には効力がないようです。

今夜です。ご予約まだの方へ。「米二のブログを見た」の暖かい言葉で前売料金の3,000円にさせていただきます。

  ☆1月21日(火) 18:30 ~ (開場 18:00)
第12回米二・塩鯛二人会/(G)天満天神繁昌亭(椅子席)
 地下鉄「南森町」4-B出口・JR東西線「大阪天満宮」7号出口・徒歩3分
オープニング・トーク「向う付け」米二 「桜ノ宮」塩鯛
「親子茶屋」米二 桂三枝作「ワニ」塩鯛 糸:美紀
前売¥3,000 当日¥3,500 ユース(25歳以下・要年齢証明)¥2,000 全席指定
問&予 TEL 080-5338-7331 桂米二予約センター(主に留守電)
PCメール・Gmailはこちら g-yan@yoneji.com
携帯メール(docomo・ezweb等)はこちら yoneji.k-yoyaku.0906@ezweb.ne.jp

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長唄「五郎時致」

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稽古ごとが盛んな米朝一門の中で、私はそれほど熱心ではありませんでした。それでも若い頃から、浄瑠璃(義太夫)、小鼓、狂言と、こそこそっと習いに行きました。ほとんど綺麗さっぱり忘れましたが……。

小鼓は望月太津八郎師匠のところへお稽古に通いました。90歳までお元気で、お酒もお好きでした。驚くなかれ、その年になられても一緒に立ち飲みの店へ行ったことがありましたから。米左君はここで名取になって、望月太八三(たやざ)という名前も持っています。スゴっ!! 他に吉弥君、阿か枝君も習いに行ってましたね。

小鼓は借り物です。桂文我君が持っていたものを借りてます。使わないというので預かってるのです。それなら売ってくれ、と頼みましたが、断られました。その代わり、ずっと持ってもらっていいし、いつでも使ってくれ、と言うのです。

そのうち皮がへたってきて、使い物にならなくなったので、皮だけ新しくしました。本物の鼓は馬の皮ですが、これは合成樹脂です。パチもんですわ。それでも高かった。つまり皮だけ自前になったのです。胴と調べ(紐)は文我君の物。さあ、ややこしなった。財産としては誰の物?

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長唄や三味線を習っている噺家も居て、いつの間にやら噺家だけで長唄の演奏ができるようになってました。昔はいろんなところでやりましたねえ。レパートリーは「五郎時致」と「雛鶴三番叟」。2曲もありました。私は特に「五郎」が好きで、その後、私の出囃子に使わせてもらってます。

それから20年以上経ちました。もう二度と演奏することがないやろうと思てた「五郎時致」を、噺家とお囃子さんで演奏することになったのです。それも正月の2日と3日、新春吉例、サンケイホールブリーゼの「米朝一門会」で。米團治社長から頼まれました。

米朝事務所の社長に米團治君が就任して、いろいろと新しいことを考えて、それを実行に移してくれます。最初にやったことが事務所のトイレの改修工事やそうですが……。

トイレの次が長唄演奏? ま、よろしい。でも私は裏サンケイと呼ばれている「落語初詣~気分はご参詣」があります。毎年こちらへ出てるのです。表サンケイには出られへん、と思たんですが、時間差がありました。表は午後2時開演、裏は午後2時半開演。しかも長唄は幕開きでの15分ほど。サンケイから森ノ宮ホールまでは、大阪環状線で11分。掛け持ちできるやん。

10月から稽古を始めることになりました。そんな時にふと思たんです。

「鼓はどこにある?」

押入れを隅から隅まで捜したら出てきました。ケースがかなり汚れてました。何も手入れをしてなかったからねえ。

「鼓は鳴るやろか? 皮はへたってへんやろか?」

手に取って鳴らしましたが、鳴りません。えらいこっちゃ……。でもこれはオレの腕がなまってるだけやわ。時々ちゃんと鳴ることもあったから。ほとんどポンではなくて、ポソッ、ポソッ言うてます。

「譜面は? 稽古用の音源は?」

これはすぐに見つかりました。紙の譜面はスキャナーで読み取って、iPadで見られるようにしました。何回か太八三師匠の指導の下、鳴物だけ集まって稽古して、いよいよ唄、三味線と一緒のお稽古です。

メンバーをご紹介します。唄の立て(筆頭)が桂文之助、続いて桂米輔、桂吉弥、桂歌之助。三味線の立てが大川貴子、続いて豊田公美子、桂米輝、浅野美希。大鼓(おおかわ)が桂米左(望月太八三)、小鼓が桂米二、太鼓が桂佐ん吉、笛が桂あさ吉。

鳴物では、米左君はもちろんのこと、あさ吉君は若手噺家に指導しているぐらいの笛の名手。頼りないのは私と太鼓の佐ん吉だけ。ま、よろしい。

唄と三味線の指導は今藤政之祐師匠。まだ若い方ですが、長唄の世界では凄いお師匠はんです。別の言い方をしたら月亭八方師匠の娘婿。それに最近わかったことがあります。政之祐師匠の姪(たぶん)に当たる女性とうちの長男が同級生やったんです。政之祐師匠は祇園のお生まれですが、やっぱり京都は狭いわ。

全員が集まっての稽古。はじめは頼りなかったけど、だんだん少しは揃うようになってきました。問題は私。譜面があったら打てますが、ないとあかんのです。つまり、覚えられへんのです。さあ、困った。

「前に置いときはったらよろしいやん」

太八三師匠は言うてくれましたが、譜面を置いていいのは唄だけなんです。他が置いてるのは見たことない。それに譜面ではなくてiPadですよ。もう必死ですわ。家でも電車でも歩きながらでも「チリカラチリトト、スタスタスットン、スットンスタスタスットン」と、こればっかり。昔はちゃんと覚えてたはずなんやけどなあ。

年明けの1月2日の朝、全員揃ったところで、まず楽屋で通して演奏しました。前にiPadを置いて。チラッチラッと見ながら。続いて本番同様、舞台で通しの演奏、リハーサルです。ここもiPadを置きました。ところが、ここではさすがにチラ見ができない。膝元に置くと覗き込まないと見えないのです。これでは本番に置いても無駄です。

さあ、それから本番まで頭の中で覚えにくいところを何回繰り返したことか。落語ではこんな努力せえへんけど。

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さて本番。うまく行ったか? 行かなかったか? ……それがよくわからんのです。細かいミスはあったけど、なんとなくやり切って、みんなに迷惑かけるようなミスはなかったはず。最後まで覚えられなかったところも、なんとか、なんとか覚えてて大丈夫でした。

全体的には良かったんちゃう?

政之祐師匠の指導は本当に親切丁寧でした。最後まで。ま、ぶっちゃけた話をすると、本番演奏中、赤いひな壇の陰に隠れて、後ろで一緒に唄ってはったんですよ。一人だけ唄が上手い人がいると感じませんでしたか? それは政之祐師匠の声だったんですよ。師匠、ありがとうございました。今度は南座でやりたいですね。……やらへんちゅうねん。

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