コロナ検証

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2021/08/31 メルマガ巻頭エッセイ「コロナ検証」

SNSではご報告しましたが、新型コロナウイルスに感染いたしました。すぐに受けたPCR検査で一度、陰性と出たのでややこしくなりました。安心してたら38℃の熱。おまけに息子と娘まで熱が出たので、3人でまたPCR検査。1回目は唾液、2回目は鼻の穴。今度は陽性でした。

熱があるだけだったので、私は自宅療養のつもりでした。ところが、うちの嫁はんが私だけホテル療養を頼んでたんです。いつの間に?

次の日、「明日からホテル療養です」という電話。えらい早いがな。あとのことはブログやFacebookに書いておきました。

2021/08/16 ホテル療養中
https://jeeyan.at.webry.info/202108/article_1.html

2021/08/18 退所が決まりました
https://jeeyan.at.webry.info/202108/article_2.html

2021/08/23 コロナ感染でお世話になりました
https://jeeyan.at.webry.info/202108/article_4.html

ほんまにラッキーでした。中等症や重症、亡くなった方に申し訳ありませんとお詫びせんといけません。

しかし、なんで感染したのか? これについて検証してみました。あ、これ医学的とか科学的な根拠は全くありませんから。

私は手洗い、うがい、洗顔、消毒は小まめにしておりました。消毒用アルコールは持ち歩いてますからね。電車の中でもシュッ、シュッとやってます。だからマスクをして気をつけてたら、感染しないはずでした。ところが、我々噺家は高座へ上がったらマスクを外すんです。無礼講トークなど何人かで出る時はマスクをしますが、落語の時は一人なので外します。マスクしたまま落語はでけまへんでぇ。

6月に枝女太さんが感染しましたが、私、彼が陽性と判明する前日、繁昌亭の「いぶし銀の会」のトークで隣に座ってたんです。出演順を決める抽選札の入った封筒は彼から直接受け取りました。その時、枝女やんと私の手が触ったかどうか……少なくとも手は握ってません。4、5日はビクビクしてました。この時は結局なんともありませんでした。

7月31日(日)は「桂米二一門会@文芸」でしたが、その日の夜、二葉が熱を出して、次の日に陽性と判明しました。これはえらいこっちゃがな。

楽屋で一緒だったのは、私の他に二乗、二豆とお囃子の勝さん。結果、私と勝さんが感染。二乗と二豆は感染せず。涼しい顔してました。ホッとしたけど、ちょっとムッとしました。あいつらだけ、なんでどないもないねん?

勝さんはマスクしていましたが、二葉とずっと話をしてました。それも私の車の中で。換気が悪かったかなあ。勝ちゃん、ごめんね。

で、私。なんで感染したか? その日の出演順、私は二葉のすぐ後でした。二葉はもちろんマスクを外してます。幸い、お客様のほうまで飛沫は飛びませんが、座布団の前や見台の上は飛沫が飛んでいるのに違いありません。

ここからが私なりの推理なのですが、この日のネタが「景清」でした。他のネタなら私の手に飛沫が着くことはなかったでしょう。しかし「景清」にはこんな場面があります。目の見えない定次郎が清水寺で夕立に遭い、雷に打たれて気絶してしまいます。気がついた時に肌身離さず持っていた杖がない。ここで必死になって杖を探すのです。

「杖。……杖、……杖、……杖、杖、杖」

叫びながら。この時、定次郎になっている私は座布団の周り、前も横も手の届くところはみんな触ります。触りまくります。これって毛氈の上に飛び散ってた飛沫をかき集めてたようなもんでしょう。その日の「景清」の出来は上々(?)で、気分良く楽屋へ戻りました。

ここなんです。ここで手を消毒してたら、感染しなかったかもしれない。でも消毒しなかったんです。油断ですな。大ネタをやったという安堵感。あとは無礼講トークでちょっとしゃべるだけ。仕事はやりとげたという満足感もあったでしょう。

ここで学習しました。マスクを外した人が上がってしゃべりまくる高座は危ないです。一人が終わる度に消毒するべきです。今はどこの誰が感染しているかわかりません。感染していることをまだ本人は知りません。周りの人はみんな感染していると思ってもいいでしょう。高座を消毒するべきです。これはやればできることで、すでに繁昌亭ではお茶子さんがやってくれてます。動楽亭昼席でもやるようになりました。お客様に安心して聴いてもらうために、噺家がこれ以上、感染しないためにやれることはやらないかんのです。

落語のネタも考えないといけませんな。「景清」は危ない。高座を触りまくるのはなんとかせんといけませんな。杖を探さなんだらええちゅうことですわな。杖ははじめから持ってなかったという演出にする……無理か。杖はこの噺で重要なポイントですから。

とにかく座布団の周囲、特に前を触らんようにする。他に触りそうな噺。「はてなの茶碗」がありますな。風呂敷包みをほどいて箱から茶碗を出すところ、触ってますな。「茶の湯」でも茶碗に青ぎな粉を入れるところ、触ってますな。この二つの噺、茶碗が出てこない演出にする……無理。茶碗ではなくて皿にする……却下。

コロナのために噺を変えるのはいけませんな。やっぱり手洗いと消毒しかないですね。

本当にたくさんの方が私の体を心配してくれはりました。SNSで発表した途端、スマホのメールやLINEの着信音が鳴り続けました。こんなことってあるんや。誹謗中傷なんて一つもありません。SNSにも書きましたが、一つだけ妙なコメントが。

「二葉さんはお弟子さんなのですね」

「そんなことは、今、どうでもええやろー!」

失礼しました。全部の方にお返事や御礼ができていません。この場を借りまして言わせてもらいます。ご心配をおかけし、ご迷惑をおかけし、深くお詫びを、そして御礼を申し上げます。個人的には30数年ぶりの病気休演が悔しくて残念です。

8月24日(火)の「尼崎落語勉強会」で落語に復帰しました。復帰したのに、そのあと仕事がないのです。どういうこっちゃ? でも今は動き出しました。頑張ります。応援よろしく。応援とは、落語会に来ることですよ~。


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8月31日付で送信した桂米二の長いメルマガの巻頭エッセイ「コロナ検証」の全文です。少し修正してますが……。コロナについて少しでも参考になればと思い、こちらにもアップいたします。……やっぱりこんなもんでは参考にならんかな?

コロナ以後、葉書での落語会のご案内を休止しています。メルマガご希望の方は桂米二予約センターまでメールでどうぞ。
g-yan@yoneji.com

お豆腐の和らい特別公演 りすたぁと

DSC_4653 本梅小給食 賀茂茄子ラタトゥイユ カレーポトフ コッペパン.JPG

今週から小学校は2学期が始まりました。早速、亀岡の本梅小学校へ行ってきました。毎年5年生に教えていますが、今年度は6人しかいません。それで担任の先生(若い女性)にもメンバーに入ってもらうことになりました。正直申しまして、子ども達より私のテンションが上がっております。

ただコロナに感染したこともあって、行くのはどうかな、とは思いました。すると校長先生が言うてくれはりました。

「今、一番安全で安心な体なんですから、大丈夫です」

はい、私は今、ピュアな体だと自分でも思います。明日、汚れるかもしれんけど。

2学期最初の給食は、賀茂茄子のラタトゥイユ(フランス、ニースの郷土料理)、カレーポトフ、いちごジャム付きコッペパン。

自分でピュアな体と自信をもって言えるのは、数日前、PCR検査を受けたからです。結果は【陰性(検出限界以下)】でした。「陰性」だけやなしに「検出限界以下」と一言添えてあると、よりピュアな気がします。なんでPCR検査を受けたかというと、このイベントに参加するためです。

  9月5日(日) 11:30 ~ (開場 11:00)
お豆腐の和らい特別公演《りすたぁと》・十一時半の部/京都観世会館
 地下鉄東西線「東山」北へ徒歩6分
 〒606-8344 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町44
 TEL 075-771-6114
狂言「鳴子遣子」茂山七五三 島田洋海 山下守之
舞囃子「舎利」大江信行 林宗一郎 左鴻泰弘 吉阪一郎 谷口正壽 前川光範
落語「まめだ」桂米二
狂言「髭櫓」茂山千五郎 茂山宗彦 多賀屋夙生 松本薫 井口竜也 茂山竜正 茂山虎真 増田浩紀 茂山茂
1階席¥5,000 2階席¥3,000 2階学生席¥2,000 1階席通し券¥9,000 2階席通し券¥5,000
問&チケット:TEL 075-221-8371 茂山狂言会事務局  https://kyotokyogen.com/

昨年6月、円山公園音楽堂にて開催された「WE’RE BACK KYOTO」の第2弾。
今年は丸山音楽堂よりずっと近い、我が家から徒歩4分の京都観世会館で開催されます。
能、狂言、落語の合同公演。滅多にございません。
観世会館は狂言で出たことはありますが、落語での出演は初めて。
桂米二は出ませんが、十五時半の部もあります。

チケットご希望の方は茂山狂言会事務局へお電話してください。桂米二予約センター(担当者は桂米二一人)で取り次いでもいいのですが、取り次いだら、私が茂山狂言会事務局へ電話をいたします。一手間増えるだけなので、直接、茂山狂言会事務局へお願いいたします。

感染対策は万全です。出演者全員PCR検査を受けてますから。

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桂米二全快!! 京の噺家桂米二@繁昌亭

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昨日、神戸新開地・喜楽館とかねよ寄席の掛け持ちをしました。病み上がりでどうかいな、と思たんですが、はっきり言うてパワー全開、元気に務めることができました。自分の体に感謝!!

今日も神戸新開地・喜楽館の昼席へ行きます。そしていよいよ明日が本格的復帰になる「京の噺家桂米二@繁昌亭」です。三席ですよ。バッチリ務めます。昨日の掛け持ちで自信がつきました。

オンライン配信もあります。明日1日(水)の午後11時59分まで購入できます。見逃し配信は1週間。遠いところの方、どうぞよろしく。
https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=2121277&rlsCd=001


  ☆9月1日(水) 18:30~ (開場 18:00)
第29回京の噺家桂米二でございます@繁昌亭/天満天神繁昌亭(椅子席)
 Osaka Metro 地下鉄「南森町」4-B出口・JR東西線「大阪天満宮」7号出口・徒歩3分
「野崎詣り」「植木屋娘」「次の御用日」米二・三席
「始末の極意」二豆  ゲスト「義眼」米紫 糸:貴子
◆102名限定 全席指定 前売¥3,500 当日¥4,000 ユース(25歳以下・要年齢証明)¥2,000
発売中!! ぴあ 0570-02-9999 Pコード 597-700
問&予 TEL 080-5338-7331 桂米二予約センター(主に留守電)
PCメール・Yahoo・Gmail等はこちらへ g-yan@yoneji.com
携帯メール(docomo・ezweb・softbank等)はこちらへ yoneji.k-yoyaku.0906@ezweb.ne.jp
LINE 桂米二予約センター 検索 08053387331
主催・お問い合せ TEL 06-6365-8281 米朝事務所
TEL 06-6352-4874 繁昌亭窓口  http://www.hanjotei.jp/
 フライヤーhttps://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/006/806/91/N000/000/000/162692411929069588673.jpg
 Googleマップ検索キーワード 「天満天神繁昌亭」
 今回の演目は中止になった6/20(日)「不定期落語会@太融寺」で出していた
 「野崎詣り」と「次の御用日」に「植木屋娘」を追加しました。
 ちょっと季節外れですが、お許しください。
 ゲストは私と同じ京都人、桂米紫さんです。
 ユース割引あります。25歳以下は社会人でも学生でもお安くします。
 なおユース割引は米朝事務所と桂米二予約センターのみの扱いとなります。
 チケットぴあ、コンビニ、繁昌亭窓口での取り扱いはございません。
 Pコード(597-700)は天満天神繁昌亭の公演全部が対象です。
 9月1日(水) 18:30開演をご指名ください。
 オンライン配信あります。視聴券2,000円


今回の演目について。「野崎詣り」は以前のメルマガで詳しくお伝えしました。上方落語四天王の一人、三代目桂春團治師匠に稽古していただきました。やりだした頃は全く受けなかったネタです。情けないことに。今は……それなりです。

「次の御用日」は私にとってどういう噺かというと、初めて聴いた生落語で覚えているのがこれでなんです。覚えているという言い方が微妙ですが、本当の初めての生落語は小学校1年生の時に南座で観たうちの師匠、桂米朝です。ところが何をしゃべりはったかなんにも覚えていません。覚えているのがこの「次の御用日」なんです。中学生になったばかりの頃、ずいぶん前になくなった京都花月で、先代の桂文枝師匠(小文枝時代)の「次の御用日」を聴きました。まだ落語ファンではなくて、漫才や吉本新喜劇目当てに京都花月へ行ってたのです。でもこの「次の御用日はよく覚えています。それをやらせてもらいます。体力的には一番きついかな?

「植木屋娘」はうちの師匠で覚えましたが、稽古はしてもらってません。私が師匠に稽古しました。……というと変ですが、こんなことがありました。

神戸文化ホールでの「東西落語名人選」という東西の重鎮ばかり出演する落語会があります。今年は中止になったのかな? もう何年前が忘れましたが、うんと前です。うちの師匠の出番は昼の部の前のほうと夜の部のトリでした。つまり間の時間がめっちゃ長いのです。そこで一旦、家へ帰ることになりました。

「米二、運転してくれ」

私は「はあ?」と言いましたね。その時の内弟子は団朝君で本来なら彼が車で送るのです。

「団朝はせっかくやさかい、ここで聴いてなさい。米二、頼むわ」

私はその日、東西の名人の落語を昼夜にわたって聴くために、わざわざ電車賃を使うて行ってるのですよ。ことに古今亭志ん朝師匠を聴くために。でもうちの師匠に言われたら仕方ありません。車で武庫之荘のお宅まで送りました。その日は奥さんも留守で家の中は誰も居ません。

「布団、敷いてくれ。ちょっと寝るわ」

師匠は寝床に入りました。部屋を出ようとしたら、呼び止められました。

「わし、今晩『植木屋娘』や。長いことやってへんねん。今からやるさかい、お前、聴いてくれるか」

耳を疑いました。こんなことって一ぺんもなかったことです。師匠はすぐに「植木屋娘」を始めました。

「ここにございましたのが、植木屋の幸右衛門という男……」

私は枕元に正座して聴いてました。しぐさもなんにもない寝たままの「植木屋娘」を聴くことになるとは夢にも思いません。これは志ん朝師匠どころやないで。

「接ぎ木も根分けもうちの秘伝でございます」

サゲまで行きました。途中で寝てしまいはるのと違うかと思いましたが、サゲまできっちり。私のほうを見て「どうやった?」という顔をしてはります。思ったことを言いました。

「○○と××の2ヶ所が抜けてます」

ちょっと勇気が要りましたが、言うてしまいました。

「あ、そうか。抜けてたなあ」

私が師匠につけた稽古が終わりました。その夜の「植木屋娘」が素晴らしい出来であったことを付け加えておきます。

明日の夜、繁昌亭で「野崎詣り」「植木屋娘」「次の御用日」の三席をやらせていただきます。あ、全快と書きましたが、まだちょっと鼻声です。いつもの美声はもう少しお待ちください。

今からでも大勢お入りいただけます。ご予約よろしく。

ご予約はメールかLINEで。
PCメール・Yahoo・Gmail等はこちらへ g-yan@yoneji.co
携帯メール(docomo・ezweb・softbank等)はこちらへ yoneji.k-yoyaku.0906@ezweb.ne.jp
LINE 桂米二予約センター 検索 08053387331


写真は昨日の「かねよ寄席」でいただいたきんし丼弁当。これでまたパワーアップ間違いなし。

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喜楽館昼席&かねよ寄席

明日は病み上がりの体に鞭打って掛け持ちです。それも神戸と京都。まず「神戸新開地・喜楽館昼席」。

 8月30日(月) 14:00~
喜楽館昼席/神戸新開地・喜楽館(椅子席)
神戸高速・神戸電鉄「新開地」東改札口3番出口・徒歩2分
演目当日 りょうば 眞 雀喜 福楽 春雨 「津軽三味線」来世楽 米二
◆限定96名 全席指定 前売¥2,300 当日¥2,800

終演後、大急ぎで阪急に乗って京都河原町へ。「かねよ寄席」です。緊急事態宣言で開演時刻を前倒して午後6時半開演となりました。ご予約済の方、早めにお食事はお済ませください。私は弁当で持ち帰りです。当日券でも、あと少しお入りいただけます。

 ☆8月30日(月) 18:30~
第401回かねよ寄席/鰻のかねよ(2F和室)
 京都地下鉄東西線「京都市役所前」南へ徒歩5分
 京阪「三条」西へ徒歩6分  新京極六角東入
演目当日 文五郎 米平 米二  木戸銭¥2,600(鰻丼またはきんし丼付)
TEL 075-221-0669 京極かねよ

そして明後日はまた「神戸新開地・喜楽館昼席」。

 8月31日(月) 14:00~
喜楽館昼席/神戸新開地・喜楽館(椅子席)
 神戸高速・神戸電鉄「新開地」東改札口3番出口・徒歩2分
演目当日 りょうば 眞 雀喜 春雨 福楽 「津軽三味線」来世楽 米二
◆限定96名 全席指定 前売¥2,300 当日¥2,800

24日に尼崎落語勉強会で落語復帰しましたが、それっきりどこへも出てません。仕事がないとパワーも追いついてきません。それがまたいきなり神戸と京都の掛け持ちなんです。明日はちょっと歩いて健康を取り戻します。けど暑いやろなあ。

明日は久しぶりにかねよの鰻をいただきます。そういうと5泊6日のホテル療養中も一度だけ鰻が出たんですよ。並べてご覧いただきましょう。

IMG_2698 令和元年最後の鰻丼 かねよ寄席.JPGDSC_4629 弁当 鰻.JPG

コロナ感染でお世話になりました

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新型コロナウイルスに感染して、ありとあらゆるところにご迷惑をかけて、ご心配をかけて、そしてお世話になりました。

まずこちらが勝手に“かかりつけの医者”と決めてかかっている近所のG医院。先生自らPCR検査を受けられるように手配をしてくださいました。年に1回、インフルエンザの予防接種を受けに行くだけなのに。私は年間3,500円の患者でございます。

もう今となっては保健所からなのか、どこから電話がかかってきたのかわかりませんが、陽性の連絡、それから、その後のホテル療養の手配、みんな早かったです。今よりまだ新規感染者が少なかったからかもしれませんが、とにかくこちらが不安になる前にみんなしてくださいました。ニュースであれほど「何もしてくれない」と聞くのに、ほんと助かりました。

ホテル療養もすぐに決まって、またすぐにお迎えの車が来るのですよ。大きなワンボックス(ハイエース)のタクシーですが、これがまた車内が暗くて正に「護送車」。私の前に先客が居て、それからだんだん増えて5人でホテルへ。みんな一言ももの言わず。

ホテルは京都駅八条口にありました。ここは普通の宿泊客は居なくて。コロナ専用。5階の一室に結局5泊6日しました。

新しくて綺麗で広い部屋なんですが、殺風景。時計もないのですよ。うちの温湿度計付きのデジタル時計を持って行ったら良かった。

人と会ったのは行った日と帰った日、ホテル1階で受付してくれた人だけ。先生や看護師さんと実際には会うてません。自分専用のiPhoneが置いてあって、それで定期的に連絡するのです。LINEのテレビ通話で先生、看護師さんとしゃべりました。LINEの画面越しにこちらの顔色を見てきはるんです。あれで分かるのかな?

ホテル療養に入ってからは一切、解熱剤などは飲みませんでした。自然に任せてたら、熱は下がってきました。酸素飽和度はずっと96~97%ありました。ですから不安感もなかったです。

食事は弁当が支給されます。お昼の12時にその日の昼食、夕方6時に夕食と次の日の朝食との2食分。エレベーターホールまで各自取りに行きます。ちゃんとした美味しいお弁当ですが、なんせみんな冷たい。手にした時点で冷めてます。はじめはその1食がなかなか食べられませんでしたが、えらいもんでそのうちに完食してました。

平熱がどれくらい続いたら退所が許可されるのか知りませんが、「このままの状態であれば18日(水)に帰っても良い」と言われたのが、前日17日(火)の朝。ほんと申し訳ないくらいの軽症でした。しんどかったのは陽性とわかった11日(火)、この日一日だけ。それもほんの少し。誰かに謝りたくなるほどの軽症。ひょっとして私の体に抗体はできてへんのと違う?

18日(水)午後4時半にホテルを出ました。その前にちょっとした儀式がありました。掃除です。洗面所、風呂とトイレ掃除。お世話になったのですから、それは当然でしょう。もう体は動いたから。

ホテルに来る時はお迎えがありましたが、帰りは送ってくれません。「各自、公共交通機関を使ってご自由にお帰りください」ということでした。電車でもバスでもタクシーでもいいのです。ええかいな? つまり「もうお前の体から人に感染させるウイルスは出ない」ということなんですね。

ホテルのすぐ前にタクシーが信号待ちしていたので、それに乗って帰りました。ずっと雨続きでしたが、その時だけは晴れていて、太陽がまぶしかった……。

家へ帰って、久しぶりに温かいご飯を食べました。その日はビールを飲まずに。

21日(土)、新人お笑い尼崎大賞予選の審査員で仕事復帰。いつも私は決勝の審査なのですが、スケジュールが合わず、桂米左君と交代して、今年は予選のほうの審査に回りました。時節柄、全部ビデオ映像。それも全部で33本。1本当たりは8分と短いですが、33本はきつい。そして33本全部の講評を書き込んでいきます。参加者へのアドバイスね。

休憩をはさんで6時間以上かかるという、復帰後最初の仕事は手荒い仕事になりました。決勝進出は6人。おめでとうございます。決勝頑張ってくださいね。あとは米左君、審査よろしく。

陰性だった最初のPCR検査が8月3日(火)でした。それから今日で20日目。8月はコロナ、コロナで過ぎて行きました。もう大丈夫です。本当に大勢の方々にお世話になりました。感謝、感謝でございます。

落語の復帰は明日24日(火)午後6時開演の「尼崎落語勉強会」です。声、出るやろか?

最初の写真は退所する日の昼食、ホテル療養で最後にいただいた弁当です。

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笑福亭仁鶴師匠

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笑福亭仁鶴師匠が亡くなった。私は中学生の時に、仁鶴師匠に落語の面白さを教えてもらった。ラジオ番組を通じて、落語はこんなにも面白いもんなんやで、と教えてもらった。

それがきっかけで、生の落語を聴きに行くようになり、そして落語に夢中になり、高校卒業後、桂米朝の弟子になり、噺家になった。そのきっかけをもらったのは仁鶴師匠。私は勝手に仁鶴師匠のことを大恩人と思うようになっていた。

噺家にはなったものの大恩人の仁鶴師匠とご一緒させてもらう機会はそんなに多くない。噺家になって30年経った時、思い切って電話してお願いしてみた。

「仁鶴師匠、私の独演会のゲストに出ていただけませんか?」

受話器を持つ手は震え、緊張して喉はカラカラ。受話器の向こうの仁鶴師匠は笑いながら引き受けてくださった。

独演会の当日、前から仁鶴師匠に伝えたかったことを楽屋で言うことにした。

「仁鶴師匠、僕はラジオを通じて、師匠から落語の面白さを教えてもらい、そして噺家になりました。師匠は僕の大恩人だと思っています」

言えた言えた。なんとか言えた。

「そうかぁー」

仁鶴師匠から思いっ切りの笑顔を返してもらった。私は長年の思いを伝えることができた。

その仁鶴師匠が亡くなって、胸にぽっかりと穴が空いてしまった。寂しいなあ。

仁鶴師匠が亡くなって、私が上方落語界で師匠と呼ぶ人は桂福團治師匠、お一人だけになってしまった。

合掌。

写真は2006年10月14日、ゲストに出ていただいた時、京都市アバンティホールの楽屋で撮影。最高の笑顔の仁鶴師匠とその横でガチガチに固まってる桂米二。



退所が決まりました

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ホテルの窓から見える景色です。京都駅八条口から南を向いてます。6日間、これだけしか見えませんでした。

一昨日の繁昌亭「米二・銀瓶ふたり会」は米團治さんの代演、桂米二の悪口で盛り上がったそうで、私も満足して喜んでおります。でもね、悪口でも言われないとほんとにやり切れませんわ。方々に迷惑かけて……。

SNSにもたくさんたくさんコメント、メッセージをいただき恐縮でございます。Twitterにはちょっと首をかしげるコメントもありましたが……。

「二葉さんはお弟子さんやったんですか?」

「今、そんなこと、どうでもええやろーーー!!」

大きな声で失礼しました。

本日、夕方に退所が決まりました。薬を飲まず、平熱がずっと続いたので。

家へ帰れます。もう私の体から人に感染させることはないと判断されたのだと思います。

帰ったら、何か甘いものが食べたいです。1回だけ弁当に付いてきたぶどうのカップゼリーが本当に美味しかった。長竹の抹茶大福も食べたいなあ。

でも私が甘いものって変ですねえ。こう言えるようになった時が私が絶好調の印です。

「あーー、ビール飲みてぇーーー!!」